脱ペーパードライバー:車線変更のコツ(基本編)
あなたの苦手なことの1つ、車線変更についてお話します。車線変更は熟練ドライバーでも気を使う場面の1つです。車線変更などなければどれほど楽なことか。必須の技術なのに自動車学校でもしっかりと教えてくれません。
ということで、今回は車線変更の基本を紹介します。
車線変更の基本ルーティンは以下の①~④のようになります。
①あらかじめルームミラーと移動する側のドアミラーで後方の状況を確認する。移る車線に後続車がいるときは、入るタイミングを見計らう。 同時に、自分の真後ろの車が自車を追い越そうとしていないかどうかも確認します。
隣の車線の後続車がどの程度離れていたら車線変更できますかとの質問をよく受けますが、ルームミラーにその後続車の全景が映っていれば大丈夫です。ただし、その車両が自車と同じ速度以下の場合に限ります。
速度調整が上手くできるようになれば、全景が多少欠けていても車線変更できますが、それまでは、全景が映っているというのを基準にすることをお勧めします。
注:私見ですが、ドアミラーは広角になっているので、距離感は正確ではありません。距離感はルームミラーの方がより正確だと感じています。逆の意見もあるので、どちらも鵜呑みにしないであなたの目で実際に確認して体感してください。
②タイミングを見極めて車線変更可能と判断したら、意思表示のためウィンカーを出す。ウィンカーは3秒前にが原則ですが、きっと3秒以上かかってしまうので、あまり考えないほうが安全かもしれません。もちろん出さないのはダメです!
③車線変更の直前に再度ドアミラーを見て確認したあと、首を振って必ず斜め後方を目視で確認します※。そして、直進方向のスピードはそのままで、もしくは移る車線のスピードの流れに合わせるように加速しながらゆっくりと車線変更します。移る車線の流れや前方の状況にもよりますが、速度は落とさないようにするのがコツです。怖さからか、多くの初心者が無意識にアクセルを緩めてしまいます。
※熟練ドライバーの中には、直前のタイミングではなく、ウィンカーを出す前に目視を済ませておく人もいますが、慣れないうちは直前の目視をおすすめします。
目視の動作は、 首を素早く振って、そしてすぐ前方に視線を戻します。1秒もかけずに素早くするがコツです。斜め後ろとは、時計で言うと前方が12時だとしたら、4時(左は8時です)くらいのところを指しています。このあたりが一番の死角となります。
④移る車線に車が前後に続いているときは、前方とドアミラーをすばやく交互に見ることで前車との追突を防ぎながら、後車との間合いを確認しながら3秒以上、高速道路では5秒くらいかけてゆっくりと長い距離を使って車線変更していきます。
注:秒数は速度によって変わるのでおおよその目安としてください。
万が一の見落としや後続車の接近具合を確認するために、ゆっくりとした車線変更(横移動)の最中にも、ミラーをチラ見して再確認します。
初動のハンドル操作もゆっくりとほんの少しだけです。あとは斜めに真っ直ぐ進む感じです。急ハンドルや大きな切り角は厳禁です。ゆっくりとハンドルを3度くらい(イメージです)切ってそこで止める感じです。下の写真のように本線道路からゆっくりと枝分かれしていくような感じにも似ています。S字を描くように進むのは間違いです。
※ノロノロと走っているような渋滞中の車線変更はこの限りではありません。
本線から出口に向かって行くように、真っ直ぐにゆっくりと左に移動していく感じ(引用元:Google社)
上から見るとこんな感じです。決して大きくハンドルを切る必要はありませんよね(引用元:Google社)
下の図のように、遠くの目標に向かって真っ直ぐに走る感じとも言えます。Sの字を描くのは、徐行するようなスピードのときだけと考えても良いでしょう。
ゆっくり横移動には二つの大きなメリットがあります。ミラーや目視で万が一の見落としがあっても、ゆっくりだったら他の車両があなたを避ける余裕が生まれます。そして急ハンドルによる車の不安定な挙動を防いでくれます。スピードが高いほど大きなメリットとなります。高速道路でハンドル操作を誤って車をコントロールできなくなり、左右に蛇行して最後にぶつかったり、横転してしまうのも急ハンドルが大きな原因です。
さて、車線変更が終わる少し手前から、また少しずつハンドルを戻し始めることになりますが、でもここはあまり意識する必要はありません。自分の感覚のままに戻していけば大丈夫です。終わったらウィンカーを戻すことを忘れないでください。戻し忘れる人結構多いです。
状況にもよりますが、移ろうとする車線の後から来る車の前に入ることができないと判断したときは、その車をやり過ごしてその車のすぐ後ろに入るようにします。状況によっては、やり過ごそうとする車が横を通過する少し前から加速し始めます。そして車線変更中は、そのままその車を追いかけるように加速しつづけることもあります。
基本は上記の通りです。しかし移動しようとする車線に多くの車が続いている場合は、そう簡単には進まないこともあるでしょう。そのためには、やはり必要最小限のルーティンを身に付けることが重要となります。このルーティンを習得するために、実際の道路で後続車がいない状況を見計らい、右から左、またはその逆方向への車線変更を何度も練習してみてください。
レッスンでも、ルーティンを間違えることはよくあります。ハンドルを切ってから遅れて目視するとか、ウィンカーを出してからミラーで確認するとか、目視を忘れるとか、なので、しっかりとルーティンを身に着けてください。
ときどき、目視の時に首を振る動作が原因でハンドルを持つ腕までも一緒に動いてしまう人がいます。 頭を動かしてもハンドルを持つ手に力が及ばないようにすることが大切です。どうしても動いてしまう場合は、車線変更をしない、首振り目視だけの練習をお勧めします。
ほかにも、ミラーで後ろを確認するときに、後ろを気にするあまり、前方がおろそかになる人がいます。ミラーで確認中に道路の真ん中から少しずつそれて行くような人もいます。前に向かって走っている限り、前方注意は大前提です。
また、車高の高いワンボックスを運転する場合は、ウィンドウの位置が高くなり、特に左側への車線変更は、背の低いクルマを見落とす恐れもあるので注意が必要です。
最近は、斜め後方から車が近づいてくると、ドアミラーのところが点滅して教えてくれる車が多くなりました。とても便利ですが、それでも私は、首振り目視は必ずします。センサーがどこまでを守備範囲としているのかがよくわかりませんし、何より自分の眼で見ないことには安心できません。
最後に
以上は、一般的な状況下での車線変更です。実際には、変更できそうと判断しウィンカーを出したとたん、入れさせないぞとばかりにスピードを上げるような人もいるので、上達のためにはある程度の練習と経験が必要です。ミラーで車線変更が物理的に可能かどうかの判断ができ、目視を徹底し、あとは”スピードを落とさず時間をかけてゆっくりと横移動”する。基本はこれだけです。ダメかもと思ったら無理をしないことも大切ですね。一か八かは絶対ダメです。
さらに難易度の高い、交通量の多い道路での車線変更はこちらをご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
岐阜・愛知 運転初心者・ペーパードライバー出張講習 Reリーフ