脱ペーパードライバー:駐車の仕方②(真ん中に真っ直ぐのバック駐車のコツ)完全版
おかげさまで、現在当ホームページで一番人気の記事となっています!
以前、「駐車の仕方①」で概念的な説明をしましたが、今回はより実践的で再現性の高いバック駐車の方法を具体的にご紹介します。ネットでいろいろ調べてみたけど、どうしても上手くいかなかった人には特にオススメです。
よくある、「ここでハンドルを何回転」という即効性のある方法ではなく、バック駐車の理屈を理解しながらの実践編です。反復練習も必要となりますが、一度できるようになれば、どこでも応用が効きます。少し遠回りに感じるかもしれませんが、確実に上達する方法なので是非トライしてみてください。
また、ハンドルをどっちに回したらよいのかよくわからないという人のために、特にオススメの練習をこちらに掲載しています。
実際のレッスンでも、こういうことを知りたかったというお客様は少なくありません。これを読めばあなたも駐車の達人になれるかも!
説明は少し長いですが、太字と写真だけでもある程度理解できるようにしています。もし、わからない箇所があれば、コメント欄からお気軽にご連絡ください。有料レッスンへの勧誘などは一切ありませんので、ご遠慮なくどうぞ。
※重要なお願い:最初は説明に忠実に従ってください。レッスンでも、見るべきところを見逃したり、バックのスピードが速すぎたり、自分の感覚でハンドルを切って逆方向に回してしまう方がいます。まずは忠実に行うことが上達の近道です。
大きく三つのステップに分けています。
「第一部」:バックする直前までの、斜めに前進して停めるところまで
以下、すべて左側にある駐車スペースに駐車する場合を想定しています。
右側の方がやや簡単ですが、レッスンでは最初に難易度の高い左側に駐車してもらっています。一人で練習するときは、右側から始めても構いません。
さあ、バック駐車の達人への道を始めましょう!
「第一部」
「第一部」は、バックする前の準備段階となります。この準備がしっかりできているかどうかが、その後のスムーズな進行に大きく影響しますので、手を抜かずに丁寧に行ってください。
〇駐車スペースに近づける
- 駐車スペースの境界線や既に駐車している車の先端にできるだけ近づきます。
- 「駐車スペースの真ん中あたり(赤丸)」と「さらに進んだ境界線」(緑ライン)の間に自分の頭が来たところで車を一旦止めます(慣れるまでは止めることを推奨)。
〇ハンドルを右に切り、左ドアミラーを確認しながら理想の位置を目指します。
- 次にハンドルを右にいっぱい切ります。
必ずしもいっぱいに切らなくても良いのですが、最初のうちはわかりやすく”いっぱい”切ります。大きく右に傾けるためです。
角度が大きければ、より直線的にバックすることができ、仕切りなおすことなく一発で駐車し易くなります。大きな角度がとれずに一発で駐車できない場合にはこちらをごらんください。
ちなみに、車を少しでも動かしながらハンドルを切ると車への負担が少なくなります。 - ハンドルを右に切ったまま、左ドアミラーを見ながら下の写真の赤いラインのスキマを小さくしていくように斜め右に車を進めます。「第一部」の最重要ポイントです。
左の黒いクルマが、ミラーにどれだけ映り込めば良いのかは関係ありません。
下の写真の赤いラインの左右の幅(スキマ)のある絵ができるまで斜め前に進みます。
黒い車と自車がミラーの中で重なってしまったら(下の写真)進み過ぎです。右にハンドルを切ったまま少し下がって位置を調整します。
〇目印となる車がいない場合
- ミラーに映った駐車スペースのライン先端の角と車の左後ろをできるだけ寄せます。(下の写真②を参照)
スーパーの駐車場は同じラインが横一列にずら―っと並んでいるので、目印の車がいないと駐車しようとしているスペースのラインが、ミラーの中でどれだったかわらなくなることはよくあることです。
実はこれが、隣に車がいないと難しいと言われる理由となっています。かと言って「トナラー」にはならないでくださいね。
ここまでの理屈っぽい長い説明は、①や②の位置へ持っていくための一つの方法にすぎません。最終的には、この位置(写真①)に車を持っていくことができれば第一部は終わりです。とにかく、できるだけ大きな角度で斜めに車を運び、同時にドアミラーの中で角と角を寄せることです。
状況によっては、しっかりと寄せなくても上手く駐車できる場合があるのですが、慣れるまではしっかりと寄せることをお勧めします。「第二部」でそのあたりが理解できるかもしれません。
「第二部」
いよいよバックの操作に入りますが、前進時に進む方向を意識してハンドルを操作するのと同様に、バックする際も車の後部をどちらに進めるかをしっかり意識してハンドルを操作してください。
〇最初に頭で理解しておくこと
●車の後部(ドアミラーで見える自車後部の角のことです)を左に寄せたいときは左にハンドルを切る、右に寄せたいときは右に切る。
●前タイヤがどちらかを向いていれば、後輪は必ず弧を描いて進む。
車の傾きや前部の動きは考えないでください。左右のドアミラーに映る自車後部の左右への動きだけを意識してハンドル操作をします。
〇ブレーキを踏んだままギアをリバースに入れる
- 最初だけはハンドルを大きく左に切り返して左のドアミラーを確認しながら、左後ろの黒い車の角に当たらないように、かつ寄せたスキマ(下の写真①の赤ライン)が開いていかないようにゆっくりとバックしていきます。
〇奥の目標地点に向かってバックする
- 出来るだけ早い段階から、後部が最終的に収まる所(下の写真の奥の赤マーク)を狙ってハンドルを操作します。
- 写真①のように隣に車がいるときは、赤マークは隠れていて見えませんが、赤マークの位置を推測しながら、ぶつけないように(車と車の絵が重ならないように)バックします。
- 実際にバックする時には、その弧の軌道を推測しながら目標地点を目指します。
なぜ最初から奥を狙って行くのか。
後輪は舵が効かないので横移動は苦手です。ぎりぎりになってからの大きな修正は難しいです。そのため、早い段階から終着ポイントを見据えて操作することが重要なのです。
最初のうちは止まるか止まらないかのスピードで、ゆっくりとバックしてください。さもないと、右でもない左でもないと忙しくハンドルを切っているうちに、結局、駐車スペース最後部までの短い距離の間に修正が間に合わなくなります。
下の写真では、動き始めた緑の○の時点で、おおよその到達点が予測できます。先の原則に基づいて、青・緑・黄ラインのように進む場合は左にハンドルを切り、赤いラインのように進む場合は右にハンドルを切ります。
言い換えれば、車を動かしてみないとハンドルをどちらに切ったら良いのか分からないということです。
- 実際にハンドルを切るときは、大きく切り過ぎないようにして、少しずつ後部の方向を変えていきます。
このまま進むとはみ出しそうだ、あるいはターゲットからどんどん離れていくと感じたら、少しだけ反対に戻す、戻し足りないならさらに少し戻すといったような感じで丁寧にハンドルを操作していきます。
この微調整を最後まで絶え間なく行いながらバックすることになります。これがバック駐車の核心部分です。
多くの人が、ネットで調べても上手く駐車できないのは、ターゲットは駐車スペースの奥(最後部)であるということが理解できていないことと、この核心部分の説明が抜け落ちているのが大きな理由です。
〇右ドアミラーに映り始めるラインも確認しながらバックします。
- (下の写真A)車体側面とラインの幅が左右とも同じになるように調整しながら、真ん中に駐車できるようにバックしていきます。(下の写真B)
- いよいよ最後の段階になると、左のラインはドアミラーで見えなくなるので、右ドアミラーで右のラインだけで合わせてもOKです。それでも見えにくい場合は、ちょっと背筋を伸ばして、右ドアミラーを上から覗き込めばラインが見えるはずです。※ミラーの合わせ方はこちらの記事をご参照ください。
オススメ!
下の写真のように、一旦駐車したスペースから斜め左に6~7メートル(適当)ほど進んで、ラインと平行になるように停めます。そこから右ドアミラーだけを見て、先に説明した原則に従ってもう一度元のスペースにバック駐車してみてください。ハンドルを切る方向と車の後部の動きの関係が次第にわかってきます。これを2,3回繰り返すだけで大きく上達する人も少なくありません。
ポイントは、右ドアミラーに映る自車の右後ろの角を、元のスペースの右角に合わせていくことだけを考えてハンドルを操作することです。
「第三部」
「第二部」がうまくいけば、真っ直ぐに駐車できますが、もしうまくいかなくても、以下の方法で調整して真っ直ぐに駐車することが可能です。
また、柱や狭いゲートがある場所では、車の前部側面をぶつけることがあるため注意が必要です。「第三部」ではこれらの注意事項も含めて説明します。
〇最後の仕上げ
- 後方の最終地点までわずか30センチでも残っていれば、前部は舵が効くので比較的容易に真っすぐにすることができます。
たとえば、右に傾いているのを左に直したいときは、右にハンドルを切って下がります。
最後の最後まであきらめずに真っ直ぐになるようにトライしてみてください。ただし、後部はそうはいかないのはもうわかりますよね。 - 前方の景色を見て斜め度を確認する
前方を見れば斜めになっているがよくわかります。レッスンでは一部の人にはこの方法も取り入れています。 - 途中の段階で明らかに左右どちらかにずれてしまった場合(下の写真)
こんな状況の時は、やはり仕切り直して一旦前に出てからバックし直すしかありません。
車体がスペースにほぼ平行(真っ直ぐ)になるまで進みます。右に切ったハンドルは車体が真っ直ぐになる少し前から少しずつ戻すようにします。このあたりは実際にやってみて感覚をつかんでください。
- バックの途中、右前角がどんどん右の障害物に近づいてぶつかりそうなとき
ハンドルをぶつかる方向(右)に切りながらバックします。すると車は少しずつ左を向いて障害物から離れていきます。ただ、そのままバックし続けると今度は左を向き過ぎてしまいます。そうなる前にハンドルを少しづつ左に戻していくことになります。
写真では便宜上タイヤの向きが示されていますが、実際はタイヤの向きは目で見てわかりません。離れていくのが確認できるまで、障害物の方向にハンドルを切り増します。
駐車の具体的な方法は以上になります。
これまでの説明を「忠実」に何度も繰り返し練習することで、どちらにどれくらいハンドルを切れば良いのかが感覚的にわかってきます。やがて納得の瞬間が必ず訪れます。この感覚をつかむことができれば、ほぼ目標達成です。
さらに慣れてくると、バックし始めの早い段階で、このまま進むとやがてラインをはみ出してしまうぞ、あるいはこのまま進めば大丈夫という未来予測がより正確にできるようになります。また、最後の仕上げの段階でより真っ直ぐにすることができるようになります。ここまでくれば、ほぼ達人レベルです。
この方法で練習すれば、ほぼどんな駐車場にも応用がききます。どこそこでハンドルを右に左にどれだけ回してくださいというやり方もありますが、普通に駐車ができる人でそんなこと考えている人は一人もいません。当然、何回まわしたのか忘れちゃったなんてことはどうでもよくなります。個人差はありますが、レッスンでは多くの人が短時間で大きく上達しています。
バック駐車の時は、周辺に十分な注意が必要です。後方だけでなく車の前方にも人や車、障害物がないことに十分注意してください。ついミラーやバックモニターに映る景色や映像だけに意識が向いてしまいがちです。外輪差によって前部の角をぶつけることもあります。
タイヤ止めがないときに、どこまで下がれるかという判断はバックモニターで確認します。モニターがない場合は、この時ばかりはウィンドウやドアを開けて後ろを振り返って確認するか、すでに駐車されている隣の車を目安に下がることになります。いずれにせよ真後ろが見えない状況なので、十分な注意が必要です。
駐車場内では周囲に注意を巡らせながらゆっくりと走ることも大切です。椅子取りゲームのように見つけたスペースに急いではいけません。スペースの近くに来たら、行動に移す前にハザードランプを点けて駐車する意思を示すことも有効です。
※駐車したら消すのを忘れないように。
以上、左側にある駐車スペースに駐車する方法をご紹介しました。右側も基本は同じです。右左が逆になるだけです。どちらかと言うと、右側駐車のほうが意識する境界ラインが自分側になり、ドアミラーで後方側面のラインがよく見えることもあってより簡単です。是非、左右どちらもトライしてみてください。
そして最後に、大切なことを付け加えておきます。一発で上手くいかないと思ったら、臆することなく一旦前に出て仕切り直してください。そのほうが結果的に早く駐車できることになります。車庫に面する道路や通路が狭いところでは、仕切り直しをしないと物理的に駐車できないこともあります。
「補足」
仕切り直し(やり直し)
「第一部」の所で上手く右斜めに角度を付けられなかったり、左後ろをしっかりと寄せられなかった場合、あるいは「第二部」のバックし始めでハンドルが遅れてしまい、せっかく寄せた左後ろのスキマが開いてしまった場合には、下の写真のように、どんなにハンドルを左いっぱいに切って下がったとしても、一発では駐車できないことがあります。
そんなときは、バックの途中で写真の一番下の黒い車にぶつかりそうになる前に(右ドアミラーで確認します)、一旦前に出て駐車し直すことになります。下の写真の赤〇辺りまで下がった後、「自車の左後ろ角と駐車するスペースの角に寄せること(緑○)」と「右斜めにできるだけ角度を付けること(緑→)」の両方を満たすように斜め右に向かって前進すればOKです。より大きな角度を取ることができるので駐車しやすくなるという理屈です。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、スーパーやドラッグストアなどの比較的広い駐車場での、駐車方法をご紹介しました。この方法で駐車の練習をすれば、ご自宅の狭い車庫でも応用可能です。柱や壁で仕切られた駐車場でも駐車できるようになります。駐車は一人でも練習できます。理屈を理解したうえで正しく練習すれば、初心者のあなたも達人と同じレベルになるのにそれほど時間はかかりません。努力は必ず報われます。是非、練習を重ねて駐車の達人になってください。
ちなみに、駐車の練習は車を自分の手足のように操る練習にもなります。ぎごちなかったハンドル操作が上手くなります。不慣れなあなたには一石二鳥ですね。
また、使用頻度は少ないですが、縦列駐車につきましてはこちらでご紹介しています。上級編ですが、こちらも実践的で再現性の高い内容となっています。よろしければご覧ください。
簡単そうで難しい「コンビニの駐車」、面する通路が狭い駐車場、その他特殊な場面での駐車に関しての記事「狭い通路での駐車」も追加しました。よろしければご覧ください。
追記
最近、自動でバック駐車してくれる車も少しづつではありますが増えてきました。まだ完全ではありませんが(この記事を書いている時点)、以前のシステムに比べてかなり優秀になっています。これから車を購入する人は、完全自動とまではいかなくとも、駐車支援システム付きの車を候補に入れてみてはいかがでしょうか。駐車支援システムを活用しながら、駐車をマスターしていくというのも全然ありだと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
岐阜・愛知 運転初心者・ペーパードライバー出張講習 Reリーフ