失敗しない縦列駐車の仕方③(実践編)

いよいよ最高難度の縦列駐車となります。熟練ドライバーだけでなく、職業ドライバーでも上手くできない人はいます。実は、必要な駐車スペースの長さと意識するポイントがわかればそれほど難しいものではありません。せっかく駐車スペースがあっても、駐車技術がないためにあきらめてしまうのはもったいないですよね。この機会に是非マスターして、あなたのカーライフをより充実したものにしてほしいと思います。

すでに、ネットに多くの縦列駐車の情報があり、いまさら何をと言う声が聞こえてきそうですが、今回は実践編として、バックで幅寄せができる人限定で、失敗しない縦列駐車の仕方をご紹介します。逆に言えば、バックで幅寄せできるあなたなら縦列駐車はできるようになりますよということです。

よくある教科書的な縦列駐車の方法として、右ドアミラーに後ろの車の顔が全部映るまで斜めにバックする、そして次は・・・などというのがあります。シンプルではあるのですが形式的なゆえに、ピッタリと条件が一致すれば上手くいきますが、少し状況が違うともう成功しません。

自動車学校で教わるような駐車方法なので再現性が低いです。あなたにも経験があるかもしれません。もちろん私にもあります。普通にバック駐車できる人ならぜひ以下の方法をマスターすることをお勧めします。

この方法では、左に駐車する場合、右後方の安全確認を除いて右ドアミラーは使いません。普通に縦列駐車できるほとんどの人がやっている方法で、決して特別な方法ではありませんが、多少の練習は必要となります。

左側に縦列駐車する場合で説明します。右も同じ要領なので左右を入れ替えてください。

大前提として、縦列駐車をしようとするスペースには、最低でもあなたの車の全長の約1.5倍の長さが必要となります。自分の車の全長はわかりにくいので、すでに駐車されているクルマ(自車と同じ位の全長)からおおよその長さを目測します。1.5倍というのは結構な長さになります。しっかりと確認しましょう。

駐車後はあなたの車の前方スペースと、やはり後ろの車の前方にもスペースが必要です。1.5倍の長さは縦列駐車の最重要ポイントです。

車のサイズによっても違いはありますが、当教習車インプレッサの場合全長が約4.5mあるので、1.5倍は6.75mになります。6.75-4.5=2.25mです。前後に並んで駐車した場合、その間隔を少なくとも約1.0m(前後あわせて2m)は開けないと出にくいと感じるので、約1.5倍という数字が妥当であることがわかります。
※軽自動車の場合は、全長が最大3.4mなので、駐車した時の前後のスキマはそれぞれ0.85mとなります。

1.5倍のスペース

それでは、縦列駐車の実践です。

すでに駐車しているクルマ(前車)のほぼ真横に、幅60センチほどのスキマを開けて、あなたの車の後部を隣の車の後部に合わせて平行に止めます。

60センチと言うのはおおよその数字です。くっつき過ぎず、離れ過ぎずです。駐車場で隣の車の横に駐車するくらいの感覚です。下の写真を参照ください。

1メートル以上離しても問題なく駐車できますが、左右への傾きがよりダイナミックになり、目印となる対象からも離れるので難しく感じるかもしれません。現実的には、1メートル以上離れたところから駐車することはあまりないと思います。

通路が狭いときは、左の車にぎりぎりまで寄せる必要があります。普通に2台並んで駐車できるスペース(幅)があれば縦列駐車できます。ぎりぎりまで寄せても縦列駐車はできますが、後の説明にあるように、最初に左いっぱいにハンドルを切りません。仮に左いっぱいに切ったとしても、外輪差で右前部をぶつけないようにすぐにハンドルを戻すことになります。普通の縦列駐車ができる様になったら是非トライしてみてください。

最初に隣の車の後部を合わせるのもある程度でOKです。バックカメラが付いているクルマならディスプレイを見て合わせることができますが、付いていないときは、隣のクルマがほぼ同じ全長なら、運転席やドアミラーの位置で合わせるのがいいと思います。

こんな感じで平行に停めます
隣の車の運転席に合わせる

そこからバックで左へ幅寄せしていきます。ゆっくりとバックし始めたら、最初の段階でハンドルを素早く左いっぱいまで切ってしまいます。これが意外とコツとなっています。

通常の幅寄せと何ら変わりません。あとはゆっくりと左後輪を左端の駐車ラインに寄せていくだけです。

最初に隣の車の横に並んだ時に、あなたの車が前に出過ぎていると、下がっていく途中で、隣の車の右後ろの角に接近しすぎて上手くいかないかもしれません。最初の段階で後部をそろえるように停めるのがコツです。

実際は、多少前に出過ぎた状態でハンドルを左いっぱいに切って下がっても、左後部をぶつけないようにすぐに右に戻すことになるので、やはり大した問題ではないのですが、慣れるまでは最初に後部を合わせたほうがやり易いと思います。

このあたりまで左に切ったままです。ここからは通常の幅寄せと同様に少しずつ右に切り始めます

さらにバックするにつれて、左いっぱいに切ったハンドルは右に戻すように切っていきます。ここもバックで幅寄せしていく要領と同じです※。普通と違うところは、左の車にぶつからないように注意しなければならないということです。

※大抵の場合、普通にバックで幅寄せをしていく要領で上手くいくのですが、右への戻し(右へのハンドル操作)が遅くなって、右への角度が大きくなりすぎた場合、左前部が隣の車にぶつからないように下がっていくときに、左後ろがラインをはみ出してしまうかもしれません。そうなってしまう人は、少し早めに右に戻し始めてみましょう。

左の車とぶつからないようにある程度の距離を保ちながら、かつ左後部の幅寄せを継続しながら、自車の左前部が左の車の後ろの角を通過するまで、左ドアミラーを見ながら幅寄せしていきます。隣の車に、ハラハラドキドキするほどぎりぎりに寄せる必要はありませんが、かすめていくことがコツとなります。

ハンドルを右に切っているので、フロント部分が隣の車に近づいて行きます
黒い車にできるだけ近づけていきます。その後はぶつけないように距離を保ってバックします。
意識すべきポイントは2つの赤丸、前車の右後部と左の駐車ライン

左前の車に絶対ぶつからない程度まで下がったら、もう左前部を気にする必要はないので、あとはいつもの幅寄せをするだけです。(下の図)

注:後ろに車がいるときは、十分注意してください。

ここまでくれば、もう前の車にはぶつかりません

上手くスペースに収まった後、後ろのクルマと接近し過ぎのときは、後ろのクルマが出られる程度のスペースを開けることを忘れないでください。もちろん、あなたも出られるように前車とのスペースをある程度開けなければなりません。

これでは後ろのクルマが出られません

以上です。

最初は、隣の車の右後部への寄せ具合と後部の左ラインへの幅寄せ具合のバランスを取るのが少し難しいかもしれません。やはり繰り返しの練習が必要になるでしょう。

文章なのでわかりずらいかもしれませんが、実際にやってみるととても単純で、思ったより難易度は高くないことが実感できると思います。初めの段階で車を止める位置もさほど重要ではなくなります。(1.5倍のスペースは必要です)

1.5倍のスペースを確認した上で「ぶつけないように」「左に幅寄せする」という二つのミッションを同時に行うのが縦列駐車の核心部分です。

縦列駐車は練習する場所があまりないのが玉にキズです。そんな時は、ここだけの話ではありますが、すいている大きな駐車場にポツンと止まっているクルマを利用します。ちょっと怪しまれるかもしれませんが、その車の横にあなたの車を横付けして、あたかも、隣の車の後ろに1.5倍以上離れて車が停まっていると想定して、隣につけた車のすぐ後ろにあなたの車を入れるようにします。ただし、目印となる、幅寄せしていく左側のライン(目印)がないと難しいです。正直、私には難しいです。

そして、すべての駐車にとって大切なことですが、一発でダメと判断したら、仕切り直しする(一旦前に出てやり直す)ことをためらわないでください。縦列駐車だからといってカッコつける必要はありません。最終目的は枠内に収めることですからね。

今回が「駐車の仕方」の最後になります。「失敗しない縦列駐車の仕方」と書きましたが、やはり練習の時は失敗します。感覚的なことを文章で表すのは難しいのですが、上記の方法でできるようになると、もう迷わなくなり、失敗することもありません。駐車は慣れればたいしたことはありません。上達に個人差はありますが、練習の努力は必ず報われます。頑張ってください。

追記

これで最後だと思っていましたが、「コンビニの駐車」を追加しました。こちらも縦列駐車同様、意外と多くの方に読まれていて少し驚いています。よろしければご覧ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

岐阜・愛知 運転初心者・ペーパードライバー出張講習 Reリーフ

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