危険なあおりハンドル、なぜなくならない？

あおり運転と間違ってこのページにたどり着いた方は、「煽られない運転」をご覧ください。

あおりハンドルとは、ほとんどが左折ですが（右折もあります）、直進の状態から、一旦右にハンドルを切ってから左に切り返して左折することを言います。昔からあることですが、最近はネットのおかげで、危険だからやめましょうというのをよく見ます。

大型のトラックやトレーラーなどの煽りハンドルを除きます。

この煽りハンドルをする人には、内輪差による左側の接触や脱輪が怖い人と、一旦右に切ることで、左折時のカーブのR（アール）※を大きくして楽に曲がりたい人に大きく分けられます。

※R（アール）＝カーブの半径：数字が大きくなるほどカーブが緩くなる

実際に煽りハンドルで左折してみると、確かに若干R（アール）が大きくなることでハンドルの舵角が小さくなり、より楽に、且つスムーズに曲がることができます。おそらくこれが煽りハンドルを止められない大きな理由の一つであることは間違いなさそうです。

あなたにその傾向があるなら、癖にならないうちに今すぐ直すことです。明らかに狭い道へ左折して入っていくときには、内輪差を気にして、一旦右に車の頭を振ってから左折することもありますが、通常の交差点では、大げさに言えば１ミリたりとも右に膨らまないように左折することを心がけてください。

どうしても左に寄せたまま左折できないような狭い道に入っていくようなときは、直前でハンドルを右に切るのではなく、あらかじめ手前から少し右寄りを走行して交差点にアプローチしましょう。

同様に狭い道へ左折する場合、左折したその先の道路で、自分の車の前部が反対車線に大きくはみ出ることにも注意が必要です。多少はみ出すことはありますが、大きくはみ出すような場合には、やはりあらかじめ右によってから左折することになります。

もちろん、後ろから来るバイクや自転車の巻き込みには十分注意が必要です。

Rを大きくしたくて煽りハンドルをしている人の場合、これはもう完全に癖になっていてなかなか直りません。自分では危険だと思っていないことも多く、危険を認識して直そうと決心しない限り無理かもしれません。

また、そのメリットの中には、R（アール）が大きくなった分だけスピードをあまり落とさずに曲がることができるというのもあります。そこがカッコいいと思ってやっているという意見もありますが、そもそも左折は特にゆっくりと曲がらなければなりません。何がカッコいいのかわかりませんし、危険でしかありません。

ネットやSNSでは、煽りハンドルを敢えて下手クソなドライバーのすることだとして、暗に熟練ドライバーの自尊心を逆なでするような記事で止めることを促しているのをよく見かけます。

一定の効果はあるかもしれませんが、そもそも意図的にやっている熟練者の中には、周囲の安全も確認しているし、初心者のそれとは違うという確信を持って煽りハンドルをしている人も少なくないと思います。そのような記事に抑止力を期待するのは難しそうです。

どんな理由があるにせよ、どの人も警告しているように、その行為はとても危険と言わざるを得ません。

左にウィンカーを出して、そのまま左に曲がると思いきや、いきなり右に膨らむので、右後ろから来た車両と接触する場合があります。

同様に、左後ろから来ている、バイクや自転車が、先行車が右に方向を変えたのを見て、左をすり抜けようとするかもしれません。

対向車だって、自分の車線に向かって突然はみ出しそうな車を見たら、とっさにブレーキをかけるか、正面衝突を避けようとして路肩に向かってハンドルを切るかもしれません。それがきっかけで事故を誘発しないとも限りません。

実際には危険なほどの煽りハンドルをする人は少数派です。それが原因で大きな事故が起きたという話もあまり聞きません。ですが、上記のようにたとえ間接的であってもそれが原因で事故になるということは考えておかなければなりません。

もしあなたが、誰かに煽りハンドルを指摘されたことがあるのなら、迷うことなくすぐに直す努力をしてください。そして繰り返しになりますが、そのためには意識的に、あるいは我慢して右にハンドルを切らないようにしなければなりません。最初のうちは、少し曲がりにくさを感じるかもしれませんが、大丈夫です。すぐに慣れます。ほんの少しの努力です。

※煽りハンドルとは違いますが、ハンドル操作に関しての注意点をこちらで紹介しています。よろしければご覧ください。

追記

煽りハンドルしてもR（アール：半径）は変わらないのではないかという意見がありました。確かに、曲がり角の頂点から角を通過する車の位置までの長さはほとんど変わらないかもしれませんが、カーブが緩くなった分だけ円弧の中心は角からさらに内側に移動しています。なので半径は間違いなく長くなっています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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