ハンドルがふらつく人は車両感覚が劣っている⁉
ハンドルがふらつく人は遠くを見ることで直るというのをよく耳にします。実際その通りなのですが、初心者にとっては、わかっていても今一つ行動に移せない事情があります。今回の記事がそんなあなたのために役立つかもしれません。
まず最初に、遠くを見ればふらつかない理由を説明します。
例えば、ある目標に向かって真っすぐ歩いていくとします。
仮にその目標が5メートル先にある場合、あなたがスタート地点で右に30センチ真横に移動したら、その目標に到達するためには体の向きを左に13.5度ほど向き直す必要があります。
しかし、その目標が300メートル先だった場合、同様に30センチ右に移動したら、10度左に向かって進めばいいことになります。
わずか3.5度の違いだと思うなかれ。車のようにスピードが出ていればその差はハンドル操作に大きく影響します。上記に例えるなら、時速36キロのとき、0.5秒でちょうど5メートル進みます。逆に考えれば、3.5度違えば、わずか0.5秒の間に約30センチもズレてしまうという計算になります。
わかりやすく極端に言えば、夜空の星を目標として進むとしましょう。地球規模で横に移動しても、進む方向は最初に決めた方向からほとんど変わりません。いや全然変わらないでしょう。
つまりそういうことです。目線が近いと、少しズレただけでも細かく修正しようとするので、ハンドルがふらつきやすくなるのです。
逆に目標が遠ければ遠いほど、多少の横へのズレはハンドル操作に大きな影響を及ぼさないということです。及ぼさないので、結果的に横へはズレないという好循環となります。
しかし、運転に慣れていない人は、遠くを見て運転するのが怖くて、ついつい近くに視線を向けてしまいがちです。その怖さの原因は、車両感覚、つまり車幅感覚が未熟であることにあります。自分の車が道路の左右どこを走っているのかがよくわからないため、それを確認しようとして、目の前の道路に視線が集中してしまうのです。そのため、遠くを見て運転しようとアドバイスしても、怖さからすぐには実行できないことが多いのです。
ややもすると、少し無理をして遠くを見て運転していて、気が付かないうちに左や右に寄っていくこともあります。あなたも指摘されたことがあるかもしれませんね。
私も、自動車学校に通っていたころは、どのあたりを走っているのか不安で、ボンネット(エンジンが入っている車の前の部分)をいつも視界の中で意識していたことを今でもはっきりと覚えています。今時の車はボンネットがよく見えませんけどね。
なので先に車両感覚を身につけましょうということではありません。もちろん車両感覚が付けば、近くを見なくても怖くなくなります。また近くを見ていても、細かくハンドル操作をしなくないで真っ直ぐ走ることができるようになります。
ではどうするか、
正しい運転姿勢であることが大前提ですが、遠くを見ながら近くも見る。ごめんなさい。これしかありません。最初のうちは意識的に遠くを見て、不安になったら近くに視線を移す。そしてまた遠くを見る。この繰り返しです。
間違っても、かたくなにハンドルをふらつかせないように腕を固定して運転するような練習はしないでください。
大丈夫です。心配はいりません。そのうちに必ず車両(車幅)感覚が身に付いてきます。同時に自分の車が道路のどのあたりを走っているのかがわかってきます。そして気が付いた時にはハンドルのふらつきはなくなっているでしょう。
関連する記事で「左に寄っていくのを直す」、「車両感覚を身に付ける」を紹介しています。よろしければご覧ください。
慣れと言ってしまえば身も蓋もありませんが、原因がわかっていてれば早く慣れることができます。楽器演奏やスポーツほど多くの練習は必要ありません。ちょっとの辛抱です。頑張ってください。
ちなみに、カーブでハンドルがふらつくのも基本的には原因は同じです。遠心力がかかっているのでいつもより少しだけハンドルをしっかりと握って、カーブの出口の方(曲がる方向の先端近く)に視線を向けながら、そこへ向かってややインコース寄りを走ることでより安定して曲がっていけます。
カーブの曲がり方については、「カーブを安心して曲がっていくためには」でもう少し詳しく説明していますので、こちらもよろしければご覧ください。
ラインをはみ出さないようにとオレンジの辺りを見たくなりますが、赤の辺りに視線を向けます。白い丸のあたりはもちろん視界には入っていますが、このあたりも周辺視野の中で意識することでカーブの連続性を感じることができ、滑らかにカーブを描きやすくなります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
岐阜・愛知 運転初心者・ペーパードライバー出張講習 Reリーフ