対向車とすれ違うのが怖くて左に寄り過ぎてしまう 

無意識に左に寄る癖を直す方法」の記事の最後に、「対向車とすれ違うときに対向車に集中しすぎて、左側がはみ出すことを忘れてしまっているかのように左に寄っていく人もいます」ということに触れました。

そのような人にヒアリングをしてみると、「そこまで左に寄っているとは思わなかった」、「対向車を意識しすぎて」という答えが返ってきます。

対向車とすれ違う時に、決して自車の左側の存在を忘れているわけではないのですが、対向車に接触するのを過度に恐れて左に寄り過ぎてしまう人がいます。これに関しては、車幅感覚が欠如している可能性も考えられます。

それではまず、大きな原因の一つとなる車幅感覚の欠如にどのように対処していけばいいのか見ていきましょう。

実のところ、私を含めて、熟練者であっても正確な車幅はわかっていないというのが正直なところです。おおよそこれくらいかなという感じです。

以前にちょっとした実験をしたことがあります。ダッシュボードから下が視線に入らない様に、板などで目の下あたりを覆って運転してみました。自分でも意外でしたが、車幅がよくわからなくなり、自分の車が道路のどのあたりを走っているのか把握しづらくなり、そのまま走り続けるのが少し怖く感じました。

この時初めて、意外と目の前にあるダッシュボード※上辺の形姿が車幅を認識する物差しになっていることを実感しました。

※ダッシュボード:運転席前にあるメーターなどが埋め込まれているフロントウィンドウのすぐ下の左右の端から端まで広がる樹脂の部分

実際には、ダッシュボードを隠してもフロントウィンドウの上端や右の枠(Aピラー)は周辺視野で見えているので、全くどこを走っているのかがわからなくなるようなことはありませんでしたが、感覚が大きく損なわれたことは確かです。

このことから、左側の車幅に関しては、慣れるまでの限定的な措置として、ペーパードライバー向けの書籍によくある、ダッシュボードに左側面の目印となるシールを張り付けるのも有りかもしれないと少しだけ思いました。

ご存知のように、普通に運転できる人でダッシュボードに目印を貼っている人をあまり、いや全然見たことがありません。教習所で、運転席から見てだいたいこのあたりがタイヤが通る位置ですよなどと教わる程度です。

個人的には、その不正確さと、目印を凝視する人がいるため、ダッシュボードに目印を付けて車幅を認識することを全然お勧めしていません。ですが、車幅感覚がいつまでも身に付かないという人は一度試してみても良いかもしれません。

その時は、目印を絶対的なものとして凝視することなく、ぜひ周辺視野でとらえてください。目印か、もしくは道路のラインかどちらか一方に焦点を合わせると、もう一方は焦点が合わず二重に見えます。最初から片目だけで合わせればいいかもしれませんが、現実的ではありません。また、ちょっと姿勢を変えただけでも見え方が大きく違ってくるので注意が必要です。

※目印の効果については、私の経験上からの考察です。決して目印を付けることを否定するものではありません。

目印がなくても、左ドアミラーのチラ見で左にどれだけ寄っているかを確認しながら、少しずつ寄せて行けば上手く幅寄せすることができます。

ドアミラーの確認による幅寄せは、車によっても多少見え方は違いますが、境界がはっきりとわかるのでより正確です。ただし、ドアミラーは少し広角に映るので見たままの幅ではありません。見え方は車種によっても違います。その点はご注意ください。余裕のある時に確認しておきましょう。

そもそも、幅寄せするときは、後方から来るバイクや自転車を巻き込まないように、寄っていくほうのドアミラーの確認は必須です。最終的には、是非こちらに慣れていただきたいと思います。

ドアミラーでの確認は、「車両感覚を身に付けて狭い道も安心」でも紹介しています。よろしければご覧ください。

繰り返しになりますが、車幅感覚はあいまいでも構いません。曖昧なので、左に幅寄せするときはぎりぎりではなくマージンを取って寄せていくことになります。もうちょっと寄れるかもしれないけど、このあたりでやめておこうといった感じです。これは車の前後や四隅に関しても同じです。

実際は、左側だけでなく右側の車幅もよくわからないということがあります。左ほどではありませんが、やはり必要以上に右側を開けようとして、左に寄りすぎてしまうこともあるようです。これも左と同じように、曖昧さを許容してください。曖昧なので、対向車から十分距離をあけてすれ違うようにします。

そしてもう一つの大きな原因は、すれ違いの時に、つい対向車に集中してしまい、左側の注意を忘れて寄りすぎてしまうことです。実際にはこちらの方が多いのではないでしょうか。

対向車を避けるために左に寄せて行くときは、ぶつからないように、脱輪しないように左端に集中しなければなりません。あたりまえのことですが、この当たり前ができないので左に寄り過ぎてしまいます。

路肩に標識や電柱などがあれば道幅はその分狭くなります。すれ違う時は左の障害物と対向車との間隔が道幅となります※。道路幅が狭くなる分だけ、すれ違う少し手前からある程度減速しなければなりません。減速すれば余裕も生まれます。
※対向車もある程度路肩側へ寄るので、その分道幅は広くなります。

具体的には、対向車が現れた時に、すれ違うあたりの道路の左端にどんな障害物(歩行者、標識、電柱、壁など)があるかをあらためて確認します。そして、対向車と左側の障害物との間のスペースが新しい走行幅であると認識します。左に寄り過ぎないためには、この最初の動作が重要です。そして、対向車とすれ違う際には、道幅が狭くなるので、減速しつつ、先ほど確認した左の障害物に注意を払いながら、少しずつ左に寄っていきます。

レッスンでは、左に寄りすぎる傾向のある人には、あえて狭い道を走ってもらって、対向車が現れるたびに「左に寄って行くときには左の障害物に注意してください」と何度もしつこいくらいにアドバイスします。そのうちお客様はいやでも注意するようなっていきます。

これに関しては「狭い道(30キロ制限)でのすれ違い方 基本編」でも説明しています。よろしければご覧ください。

大きな原因は二つです。車両感覚の欠如と対向車に集中しすぎて左側の確認をおろそかにしてしまうことです。こうすれば絶対大丈夫というような特効薬はありませんが、原因がわかれば対処の仕方も変わってきます。しばらくは意識してみてください。習慣になれば、もう左に寄りすぎることは無くなります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

岐阜・愛知 運転初心者・ペーパードライバー出張講習 Reリーフ

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